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2.22023
知床旅客船事故対策
この投稿は、知床遊覧船事故対策検討委員会の、検討資料を個人的に要件のみを抜粋したものです。
知床旅客船事故の原因、背景
①事業者
・有限会社知床遊覧船(以下同社)の安全管理規定等違反及びその他多数の法令違反。
・同社は安全統括管理者及び運航管理者の選任要件について虚偽に報告を行っていた。
・運航管理者による運航管理の実態が存在していなかった。
・同社が届出をした連絡方法に不備があるにもかかわらず、運航管理者である社長は本船を出航させた。
②国
・同社による過去2回の事故の後に行った、特別監査等を行ったにもかかわらず、同社の安全意識の欠如を見落としていた。
・同社からの運航管理者の資格要件の虚偽の届出について、その真偽について確認できていなかった。
・安全基準で定められた救命設備は、低水温域で救助に時間を要する場合は、十分なものではなかった。
③JCI(日本小型船舶検査機構)(民間法人)
・同社より無線設備を携帯電話に変更したい旨申し出があり、内規に従って認めたものの、同機構が定める検査方法が十分でなかっ
た。
④その他
・今回航行海域で、携帯電話会社のサービスエリア内とされていても、実際には電波を受信できない場合もあった。
・本船の沈没原因は、船首甲板に打ち込んだ波がハッチを経て船内に浸水し、隔壁の開口部を経て、船内各区域を浸水させた。
・運航判断の問題及び安全管理規定の不遵守。
・国及びJCIの監査、検査実効性に問題があった。
・本船に搭載された救命浮器は、低水温域に適したものではなかった。
・通信手段に電波受信が困難な携帯電話を使用していた。
主な対策の内容
①事業者の安全管理体制の強化
・安全統括管理者、運航管理者への試験制度の創設(R7年法改正を検討)
・事業許可更新制度の創設(R6年法改正を検討)
・届出事業の登録制への移行(R6年法改正を検討)
②船員の資質の向上
・事業用操縦免許の厳格化(終了試験の創設等)(R6年法改正を検討)、初任教育訓練、乗船履歴
③船舶の安全基準の強化
・法定無線設備からの携帯電話の除外(実施中)
・船首部の水密性の確保(実施中)
・改良型救命いかだ等の積み付け義務化・早期搭載促進(実施中)
④監査・処分の強化
・行政処分制度の抜本的見直し(違反点数制度、船舶使用停止処分の導入等)(R5年法改正を検討)
・罰則の強化(拘禁刑、法人重科等)(R5年法改正を検討)
・許可の欠格期間の延長(2年→5年)(R5年法改正を検討)
⑤安全情報の提供の拡充
・安全法令違反の行政指導を公表対象に追加
・行政処分等の公表期間の延長(2年→5年)
・安全性の評価、認定制度の導入(R6年度)
⑦利用者保護の強化
・旅客傷害賠償責任保険の限度額の引上げ(R6年度)
・旅客名簿の備置き義務の見直し(R5年法改正を検討)
上記はあくまでも重要と思われる個所の抜粋です。その他色々と対策が取られています。
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