ブログ

琵琶湖で遊漁船事業を始めるには?

1.遊漁船業とは?

この法律において「遊漁船業」とは、船舶により乗客を漁場(海面及び農林水産大臣が定める内水面に属するものに限る。以下同じ。)に案内し、釣りその他の農林水産省令で定める方法により魚類その他の水産動植物を採捕させる事業をいう。(遊漁船業の適正化に関する法律第二条)

上記の様に法律では定められています。少し簡単に説明しますと、乗客(お客様)を魚がよく釣れるであろう水域へ案内し魚釣りを楽しんでもらい、そ 

の対価として報酬をもらう仕事です。遊漁船業の多くは今ご説明した様な形態の事業となります。(これ以外の遊漁船業ももちろんあります。)

遊漁船業は、海に限らず、農林水産大臣が定める内水面とも記載されています。この内水面には、滋賀県の琵琶湖も含まれています。

上記法律に記載されている語句を簡単に説明していきます。

 釣りその他の方法

①釣り  ②網を使用する方法  ③網以外の漁具を移動しないように敷設して行う方法  ④くまで、いそがね等を使用する方法  ⑤歩行徒手採捕

従って、釣りの外、潮干狩りや手掴みで魚を採捕させるために漁場まで船で案内する事業も遊漁船業となります。

 水産動植物の採捕

遊漁船業の目的は、お客様に水産動植物を採捕させることにありますから、水産動植物を採捕することが目的でない、ダイビングポイントまでの案内、

ホエールウォッチングなどは、遊漁船業には該当しません。遊漁船業ではなく、海上運送事業になります。

遊漁船業はお客様を船に乗船させ、船を運航するという非常に責任の重い事業になるため、行政への手続きや資格の取得が必要となります。それを簡単

にご説明します。

 遊漁船登録の条件

①利用者の安全管理に当たる遊漁船業務主任者を選任すること。(遊漁船業務主任者と遊漁船の船長を兼ねることは可能です。)

②乗客損害賠償保険(保険契約額が乗客1人あたり5千万円以上)に加入していること。

③業務規程を定めていること(最低限以下の事項について具体的な内容を記載したものであること)

・利用者の安全に安全確保及び利益の保護並びに漁場の安定的な利用関係の確保のため必要な情報の収集及び伝達に関する事項

・利用者が遵守すべき事項の周知にかんする事項

・出航中止条件及び出航中止の指示に関する事項

・気象若しくは海象等の状況が悪化した場合又は、海難その他の異常の事態が発生した場合の対処に関する事項

・漁場の適正な利用に関する事項

・遊漁船業者及びその従事者が遵守すべき事項

④以下に規定する事項に該当しないこと。

一 第二十一条第一項の規定により登録を取り消され、その処分のあつた日から五年を経過しない者

二 遊漁船業者で法人であるものが第二十一条第一項の規定により登録を取り消された場合において、その処分のあつた日前三十日以内にその遊漁船業者の役  員であつた者でその処分のあつた日から五年を経過しないもの

三 その者(法人に限る。以下この号において同じ。)と密接な関係を有する次に掲げる法人が第二十一条第一項の規定により登録を取り消され、その処分のあつた日から五年を経過しない者である者

イ その者の株式の所有その他の事由を通じてその者の事業を実質的に支配し、又はその者の事業に重要な影響を与える関係にある者として農林水産省令で定めるもの(ロにおいて「親会社等」という。)

ロ 親会社等が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にある者として農林水産省令で定めるもの

ハ その者が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にある者として農林水産省令で定めるもの

四 第二十一条第一項の規定による登録の取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があつた日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に第十条第一項第五号に該当する旨の同項の規定による届出をした者(当該遊漁船業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で当該届出の日から五年を経過しないもの

五 第二十九条第一項の規定による検査が行われた日から聴聞決定予定日(当該検査の結果に基づき第二十一条第一項の規定による登録の取消しの処分に係る聴聞を行うか否かの決定をすることが見込まれる日として農林水産省令で定めるところにより都道府県知事が当該登録を受けようとする者に当該検査が行われた日から十日以内に特定の日を通知した場合における当該特定の日をいう。)までの間に第十条第一項第五号に該当する旨の同項の規定による届出をした者(当該遊漁船業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で当該届出の日から五年を経過しないもの

六 遊漁船業者で法人であるものが第四号に規定する期間内に第十条第一項第五号に該当する旨の同項の規定による届出をした場合において、第四号の通知の日前六十日以内に当該届出に係る遊漁船業者(当該遊漁船業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の役員であつた者で当該届出の日から五年を経過しないもの

七 第二十一条第一項の規定により事業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者

八 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

九 この法律、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)、船舶職員及び小型船舶操縦者法(昭和二十六年法律第百四十九号)、漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)若しくは水産資源保護法(昭和二十六年法律第三百十三号)若しくはこれらの法律に基づく命令(漁業法第百十九条第二項又は水産資源保護法第四条第一項の規定に基づく規則を含む。)又は船員法(昭和二十二年法律第百号)第百十七条の二第一項、第百十七条の三第一項、第百十七条の四第一項、第百十八条第一項、第百十八条の二から第百十八条の四まで若しくは第百十八条の五第一項の規定に違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

十 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(第十三号において「暴力団員等」という。)

十一 遊漁船業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号(第三号を除く。)又は次号のいずれかに該当するもの

十二 法人でその役員のうちに第一号、第二号又は第四号から第十号までのいずれかに該当する者があるもの

十三 暴力団員等がその事業活動を支配する者

十四 第十二条に規定する遊漁船業務主任者を選任していない者

十五 第四条第一項第六号に規定する措置が農林水産省令で定める基準に適合していない者

十六 業務規程(利用者の安全の確保及び利益の保護に関する事項に係る部分に限る。)が農林水産省令で定める基準に適合していない者

 遊漁船業務主任者を選任する

遊漁船業を開始するには、遊漁船業務主任者を選任しなければなりません。

  遊漁船業務主任者とは、

遊漁船業務主任者とは、利用客のために、安全でまた、漁場で適正な釣り等を行うことができるように

例えば 事故発生時の対応、安全な漁場の選定、安全な釣りの方法の指導、助言を行う者です。

遊漁船業務主任者は次の要件を満たす必要があります。

①海技士免許(航海)または、小型船舶操縦免許の資格を持つこと。(小型船舶操縦免許の資格者は、合わせて特定操縦免許が必要)

②遊漁船に関して1年以上の遊漁船主任者として実務経験を有すること、または遊漁船主任者のもとで30日間(1日5時間以上)以上の実務研修を修了して

いること。 (後者の実務研修を修了する場合がほとんどです。実務研修は以前は10日でしたが、令和6年4月1日より30日に変更されました。)

③遊漁船業務主任者講習を受講しかつ講習修了から5年以上経過していないこと。

遊漁船業務主任者講習についての詳細はこちらから

株式会社日本海洋資格センター(JML)

一般財団法人日本海洋レジャー安全振興会(JMRA)

④遊漁船業務主任者を解任され、解任された日から5年以上経過していない者

⑤遊漁船登録の拒否事由に該当しないもの。(上記太字の1~16の事項)

特定操縦免許とは?

総トン数20トン未満の船舶に船長として乗船するためには、航行する海域によって一級又は二級小型船舶操縦免許が必要となりますが、釣り船や海上タク

シーなど「お客様」を乗船させた船舶に船長として乗船するためには合わせて「特定操縦免許」が必要となります。「お客様」を乗船とは、対価として報酬を

頂く場合をいいます。したがって家族、友人を乗船させて釣りや観光などを行った場合で報酬が発生しない乗船、船舶の航行には、「特定操縦免許」は不要で

す。

この「特定操縦免許」の取得に関しては、令和6年4月1日に法改正がありました。(簡単にご説明します。)

特定操縦免許の新しい制度の詳細ついてはこちらから

①今後新規で「特定操縦免許」を取得する場合には、7時間座学+4時間座学+4時間実技の計15時間の講習の受講と受講後にある終了試験に合格すると取得できます。

②令和6年4月1日時点ですでに「特定操縦免許」を取得している方は、令和8年4月1日までに4時間座学+4時間実技の講習に受講と受講後にある終了

試験に合格すると、「新特定操縦免許」への切り替えができます。この切り替えを行わないと、令和8年4月1日時点において「特定操縦免許」は失効しま

す。(ただし、失効後にこの切り替え(移行講習と言います。)を行えば、「特定操縦免許」の失効は取り消され復活します。

  特定操縦免許の講習についての詳細はこちらから

株式会社日本海洋資格センター(JML)

一般財団法人日本船舶職員養成協会(JEIS)

一般財団法人日本海洋レジャー安全振興会(JMRA)

登録申請に必要となる書類

遊漁船事業を行うには、各都道府県の水産課等に登録申請を行い、遊漁船事業者名簿に登録されればその事業を行うことができます。

①遊漁船登録申請書

②登録を受けようとするものが拒否要件に該当しない旨の誓約書(2種類)

③実務経験・実務研修証明書

④海技免状又は小型船舶操縦免許証の写し(小型船舶操縦免許にあっては、特定操縦免許が必要)

⑤遊漁船業務主任者講習会の受講終了証明書の写し(受講終了後5年以内のもの)

⑥損害賠償保険証券等の写し

⑦遊漁船に使用する船舶検査証書の写し

⑧船舶免許証と現住所が違う場合のみ、住民票や自動運転免許証など現住所が分かる、本人確認書類の写し

⑨業務規程

⑩申請者が未成年の場合、法定代理人の現住所の分かる本人確認書類の写し

⑪遊漁船業務主任者の現住所の分かる本人確認書類の写し(小型船舶操縦免許証でも可)

⑩行政書士に代理申請を依頼する場合は、委任状

 

遊漁船業者新規登録申請 55,000円~

遊漁船業者更新登録申請 33,000円~

当事務所には海事代理士も在籍しておりますので、遊漁船業者登録の他、船舶免許や海上運送事業のご相談も承ります。

#image_title

 

不明な点、ご相談はこちらから

お問合わせはこちらからどうぞ

電話によるご相談はこちらからどうぞ

 

 

 

author avatar
82800656
  • 琵琶湖で遊漁船事業を始めるには? はコメントを受け付けていません
  • 海事代理士

関連記事

コメントは利用できません。
ページ上部へ戻る