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7.262024
死後事務相談事例④
献体に出して欲しい。また、臓器提供の手続きを取って欲しい。
自分が死んだ後は、医学発展のために、役立てて欲しい、また臓器提供の手続きを取って欲しいのですが、出来ますか?
1.献体とは?
献体とは自己の体を死後、医学や歯学の教育として行われる身体の正常な構造を明らかにするための、解剖の解剖体として提供することです。
2.献体の登録
委任者が献体を望む場合には、委任者が生前に献体登録をしておく必要があります。委任者が献体登録を行っていない場合は、献体を希望する
大学又はこれに関連する献体篤志家団体に登録申し込みをしておく必要があります。申込みの際には、献体登録申込書に必要事項を記入し提出
しますが、その際将来遺族となる者の同意が不可欠となります。(実際に正常解剖をする際には、遺族が「拒まないこと」が要件になりま
す。)申込が完了すると献体登録証が発行されます。
3.死亡の連絡
ここから先は委任者に死亡後の流れにつてお話します。委任者の方は、参考までにお読みください。
献体登録者である委任者が死亡した場合、受任者は献体登録証に記載されている大学等に連絡をします。その際大学から遺体引取りの日時・手
順等の打ち合わせや必要書類等の説明を受けることになります。その際死亡診断書、火葬許可書の提出が必要となります。献体の受け入れは一
般的には死後48時間以内となっているので、可能であるならその前に葬儀を終えるのがよいでしょう。48時間以内に葬儀が行えない場合は
遺体なしで葬儀を行う方法もあります。時間が限られているので、事前に委任者や受任者は葬儀業者と相談したほうがよいでしょう。
4.献体手続き
死亡の連絡をすると、委任者の自宅等に大学から委託された業者が趣き、必要書類の受領と共に、遺体の引き渡しを受けます。
なお先程も記載しましたが、委任者に遺族がいる場合には、遺族が解剖を拒まないことが要件となっていますので、遺族の承諾を受ける必要が
あります。また、委任者に遺族がいない場合には、大学の長から引き渡しの要求があったときは、遺体を引き渡すことができます。
5.返骨
献体後、大学に納骨堂があれば納骨堂に納骨してくれる場合もありますが、遺骨の引き取りを制限する大学もあります。被相続人の遺骨は、祭
祀主宰者に帰属するとされています。そのため、祭祀主宰者の指定がない場合は、その地方の慣習によって、慣習がない場合は、家庭裁判所の
調停、審判によって祭祀主宰者が決められます。遺言で祭祀主宰者の指定をしている場合は、返還された遺骨の引き渡し先として、その者を指
定することになります。
6.臓器提供
ここからは臓器移植を希望される委任者のかたはお読みください。
(1)臓器提供の意思表示
臓器の移植に関する法律により、臓器の機能に障害がある者に対し臓器の機能の回復又は付与を目的として行われる臓器の移植術に使用される
ための臓器を死体から摘出し、臓器提供をすることが認められています。移植の対象となる臓器は、心臓・肺・肝臓・腎臓・眼球・膵臓及び小
腸と定められています。
臓器提供の意思表示は、
①臓器を提供するか、しないか。
②提供する場合には、心配停止後に限るのか、脳死後を含めるのか。
について行います。意思表示は、委任者が生前に運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードその他の臓器提供意思表示カードに臓器提供の
意思を記載することによりなされます。また、公益社団法人日本臓器移植ネットワークのウエブサイトからもインターネットによる意思登録も
可能です。臓器提供の意思表示を遺言ですることは禁じられていませんが、遺言書が死後すぐに見つかるとは限りませんので、委任者が日常携
帯している免許証や臓器提供意思表示カード等によって本人の意思が明確になるようにしておくことが重要です。
(2)委任者の死亡後の手続き
ここから先は委任者に死亡後の流れにつてお話します。委任者の方は、参考までにお読みください。
生前に臓器提供の意思表示がされている場合には、臓器提供の死後事務の委任を受けた受任者としては、医師のその委任者の意思表示がなされ
たカード等を渡すなどして、委任者の意思を伝えることになります。臓器提供者に遺族がいる場合には、遺族が臓器の摘出を拒まないことが要
件となりますが、医師が臓器を摘出する際に遺族に告知をするので受任者は臓器移植に関して医師へ委任者の臓器移植の希望を伝えるだけとな
ります。
法律上、移植術に使用されるための臓器を提供すること若しくは、その提供を受けることの斡旋をすること若しくは斡旋をしたことの対価とし
て、財産上の利益の供与を受けることは禁止されているので、死後事務の委任者、受任者ともに臓器提供に関わる事務に関しての「対価」との
疑義が生じないよう、臓器提供の死後事務のみを有償で契約することは避けるべきでしょう。
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