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10.12022
遺言書の作成
1.遺言書について
“遺言”と書いて「ゆいごん」とも「いごん」とも読みます。一般には「ゆいごん」我々専門家は「いごん」と読む場合が多いようです。そしてその遺言を書面に残したものを“遺言書”と言います。
遺言書に似た言葉に“遺書”というのがありますが遺書は、自分の気持ちや思いを書いたもので法定効力はありません。故人の最後の思いとして大事にされるといいでしょう。逆に遺言書は、法律で定められた方式で作成されたものは、法定効力があります。故人の作成した遺言書が発見された場合は、基本的にその遺言書に記載された通りに遺産分割する必要があります。
2.遺言書の効力について。
①法律で定められた以外の相続方法を指定できます。
②遺言執行者を指定でます。(遺言執行者とは、自分作成した遺言を確実に執行してくれる人のことです。)
③本人が特定の相続人から、虐待や侮辱などの被害を受けていた場合、その者を相続人から排除することがでます。その他信託の設定ができるなど色々な効力があります。
主の遺言書使い方は①、②が多いようです。
そして①は、次のような場合に使うことが多いです。
・相続人同志で自分の遺産分割で紛争を起こしてほしくない。
・子供のいないご夫婦
・子供の中で結婚していない、あるいは身体に障害があるなどで将来に不安がある場合に多目遺産を相続させたい。
・相続人以外に遺贈させたい。(以前お世話になった恩人、慈善団体など)
・内縁の妻または夫がいる。
・何回か再婚している。
3.遺言書を作成するにあたり覚えておきたい用語
遺言執行者:先程も説明しましたが本人が作成した遺言書を確実に執行してくれる人です。行政書士など専門家に依頼すると良いでしょう。
遺留分:遺言書である人だけに遺産を全て相続させることは、紛争の元です。理由は一定の範囲の法定相続人(兄弟姉妹以外)には遺産を最低限相続できる権利が定められているからです。この最低限相続できる権利を遺留分といいます。この権利を侵された相続人は、遺留分侵害額請求をして、最低限相続できる遺産を金銭で請求できます。
4.遺言書の種類
遺言には以下のものがあります。
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普通方式
・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言
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特別方式
・危急時遺言
・隔絶地遺言
当事務所では、主に普通方式の自筆証書遺言と公正証書遺言の作成をサポートしております。それぞれの遺言書の特長は、下記の通りです。
自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
特長
読んで字のごとく遺言書全てを自筆で書く遺言書です。(財産目録については、パソコンやコピーが使用できます。) また、間違って記載した場合の、修正方法も規定された通り行わないと、遺言書自体が無効になる場合もあります。 |
特徴
公証役場の公証人が作成します。本人が、遺言の内容を公証人に口頭で伝え、それを公証人が、書面にして遺言書を作成します。また公証人の他に2人の証人が必要です。 |
メリット
・一人で作成できるため、遺言内容を秘密にできる。 ・費用がかからない
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メリット
・正確性の高い遺言書が作成できる。 ・紛失、改ざんなどの心配がない。 ・相続開始後に裁判所での検認が不要である。 |
デメリット
・紛失、他人による改ざんや破棄される心配がある。 ・規定の方式でない場合は、無効となることもある。 ・相続開始後に裁判所にて検認が必要である。 |
デメリット
・遺言内容が他人に知られる。 ・公証役場に費用を支払う。 ・証人を選任しなければならない。 |
※自筆証書遺言の法務局での保管ができます。費用が掛かりますが、裁判所の検認は不要です。改ざんなどの心配もありません。
※公証人とは、裁判官や検察官など過去に法律実務に携わった者で、法務大臣より任命された専門家です。
5.遺言書を作成する場合の注意点
先述しましたが遺言書を作成するメリットはいくつかあります。しかし作成した遺
言書の内容が不十分であった場合は、かえって相続人の間で紛争が起きます。
例えば
・相続財産の記入漏れがあり、誰が相続するかで揉めてしまう。この場合記入漏れの相続財産のためだけに、遺産分割協議が必要となる。
・遺留分の考慮が不十分で、遺留分侵害額請求が発生する場合がある。
よって遺言書を書く場合は、事前に法定相続人の調査や、本人の財産調査を行う必要があります。
6.遺言書が存在した場合の取り扱いの注意点
相続が発生した場合、まず遺言書があるかどうか確認する必要があります。
相続が発生したらすぐ遺言書を探す必要はありませんが、葬儀やその宗教行事が一段落すれば速やかに探すことをお勧めします。
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自筆証書遺言の場合
・自宅に保管していることが多く見受けられます。もし自宅を探してもない場合は、懇意にされていた弁護士、司法書士、行政書士が保管していることもあります。また今では、法務局での保管制度もありますので確認するとよいでしょう。
・もし自筆証書遺言が自宅で発見された場合、勝手に開封することは、禁じられています。裁判所で検認を受ける必要があります。
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公正証書遺言の場合
・最寄りの公証役場に保管されています。この場合裁判所での検認は不要です。
- 遺言書が発見された場合は、遺言書により遺言執行人が選任されている場合は、遺言執行人が、選任されていない場合は、行政書士などに依頼して相続手続きを行ってもらうのが良いでしょう。
弁護士、司法書士、行政書士など国家資格を有しない者が、報酬を貰って相続手続きをすることは、禁止されています。
- 遺言書が、発見されなかった場合
・相続人全員による遺産分割協議を行う必要があります。