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遺言書の効力

遺言書はどの程度拘束力があるのか

遺言書が法的に有効であれば、法定相続分を逸脱しても問題はありません。

そもそも法定相続を絶対に守らなければならないというルールは、ありません。

遺言書が法的に有効であれば、どんな不公平な内容でも相続手続きはできますし、法定相続人全員の同意も必要ありません。(ただし相続人の遺留分の権利を侵害した場合は、問題が発生します。)

遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に認められたもので、最低の相続分を相続できる権利を、認めたものです。遺留分を侵害された相続人は、他の相続人に対して遺留分侵害額請求をすることができます。この場合他の相続人は応じる必要があります。(だからといって遺言書が無効になるわけではありません。)

ではこの問題をクリアすれば、遺言書は絶対的なのでしょうか?

相続人全員の合意があれば遺言書に従わず遺産分割することができます。(新たに相続人全員で遺産分割協議を行うということです。)ただし次の者が遺言書に記載されていればその者の同意も必要となります。

  • 遺言書に相続人以外に財産を相続させる記載があれば(いわいる受遺者がいる)、その受遺者の同意が必要です。つまり受遺者に遺言書に書かれた受遺者としての権利を放棄してもらうと言うことです。

上記のことを簡単にまとめると、遺言書と違う相続をするためには!

  • 相続人全員の同意
  • 受遺者の同意

ここで考えて頂きたいのが、なぜ遺言書以外の相続をする必要があるのでしょうか。

・遺言書に記載されている内容が、相続人間の遺産分割割合が著しく不平等

・遺言書に記載されている内容に、相続人以外に受遺者がいる。

主にこの2点があげられます。

そこで

 

イ.受遺者がいない場合

受遺者がいない場合は、相続人間で不平等があることになります。つまり遺言書の相続内容に有益な相続人とそうでない相続人が存在すということです。その有益な相続人が、新たに遺産分割協議に同意するでしょうか?有益が多い相続人から、そうでない相続人へ遺留分を支払い、遺留分問題が解決すればそれで問題なく、相続が終了へと向かうと思われます。

ロ.受遺者がいる場合

受遺者が慈善団体等であれば、その権利を放棄することも考えられますが、それ以外の個人(過去の恩人、前妻等)への遺贈であれば権利放棄は、ありえないかもしれません。

ハ.遺言執行者は、そもそも遺言者より確実な遺言の執行を委託された者なので、新たな遺産分割協議に同意するでしょうか?(遺言書の作成が10年以上前で、社会情勢も、相続人の家族状況も変わってしまった場合などは、同意も考えられますが)

 

上記の事情を考えると、遺言書で指示された、相続内容は、遺留分問題が解決されれば、その遺言書に従い相続することになりそうです。

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