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遺言書をめぐる問題

遺言書めぐるいろいろなトラブル

①遺言書があるはずなのにないが?

Q1.父は毎年正月に遺言を書いていました。しかしその遺言はどこにもないのですが、どうすればいいですか?

A1.遺言書がないということですが、毎年正月に書いて保管してたようですが、遺言の保管は大事なことです。これをなおざりにしていたのは、遺言者や相続人の失敗でした。遺言書の隠匿や破棄は相続欠格事由ですが、それを調べて立証するのも困難です。刑事事件にして捜査してもらう手もありますが、身内のことでもあり好ましいとは言えません。ただ、遺言書はなくてもコピーがあり、遺言書の存在と内容が立証されれば遺言は認められるケースもあります。ただ遺言者が遺言書を破棄したのであれば無効です。

②愛人の子が遺言書を持ってきたが?

Q2.父には若い頃同棲していた女がいたらしく、その同棲相手との子という人が遺言書を持って現れました。それによると認知して2000万円を与えるとなっていますが。

A2.婚姻外の子も相続権を持っています。相続権を主張するには、当人が認知を得なければなりません。認知は遺言においてすることができます。ただし、遺言書が本物かどうかが問題です。また遺言者の子であるかどうかを他の相続人が争うこともできます。また一言に2000万円といっても、遺産が2000万円あるかどうか、また他の相続人の遺留分の問題もあります。

③遺言書が3通でてきたが?

Q3.父が死亡しして遺言書が母と子二人に対して計3通が出てきました。遺言書は自筆証書で同日に書かれたものですが内容がダブっているところがあります。どうしたらいいですか?

A3.遺言書の内容がダブっていいるというのは、その内容が相違すると考えると、後に書かれた遺言書が有効となり、前の遺言書は取り消されることになります。同一日付の遺言書でも、区別できればよいとされています。

④遺言の内容が乱筆で解読できない。

Q4.父が死亡し遺言書がありました。出来るだけ父の意思を尊重して遺産分割を行いたいのですが、乱筆で解読できません。

A4.遺言書が解読できないというのは、客観的な事実でしょうか草書体で書かれていて、読めないだけでかも知れません。草書体も正式な書であり、乱筆とは違います。読める人もいるかも知れません。単なる乱筆で読めない場合でも鑑定人が解読することもあります。ただあまりにも酷く誰にも読めない場合であれば、その遺言書は無効となります。

⑤遺言書に相続分の指定しかないが?

Q5.遺言書には相続分の指定しかなく、遺言執行人の指定がありません。個々の遺産の分割では、相続人だけで遺産分割協議をしてよいのでしょうか

A5.遺言書に相続分の指定があれば、遺留分を侵さないかぎり有効です。つまり法律に従うように、その相続分による遺産分割をすればいいのです。

⑥財産目録に書かれた土地がないが

Q6.父が亡くなり、七年前に書かれた遺言書が出てきました。わたしに相続させるという土地があり、調べて見ると売却されていました。他の財産を相続できませんか?

A6.遺言書で相続させるとされた土地が遺言者の行為で売却されていた、というのであれば、その売却行為により当該の遺言は撤回されたこととなります。遺言が撤回されたのであれば原則に戻り、普通に相続することができます。つまり相続分に応じた遺産分割をすればいいのです。売却が、被相続人の死後になんらかの方法で行われたのであれば、売買契約の取消または売買契約をした責任者に対する弁償または、損害賠償請求となります。

⑦遺言の内容があまりに不公平だが?

Q7.遺言は一見相続人に平等のようですが、兄は良い財産をもらい、自分は価値のない財産を押し付けられています。

A7.遺言書の内容に不満のようですが、遺言書による相続人の指定や分割の指定は有効で、平等でなくても問題ありません。例えば兄に全部を相続させる遺言もありうることで、有効です。ただし配偶者や直系血族には、遺留分がありこの権利を主張することができます。つまり、遺留分の額だけ取り消すことができます。

⑧犬や猫に相続させるという遺言は有効ですか?

Q8.三人姉妹のうち、長女が亡くなりました。姉には子も親ももなく、遺言書がでてきました。遺産は自分が飼っている犬に全額相続させるとなっていましたが、この遺言は有効ですか?

A8.犬には権利能力がないので、相続や所有の当事者となることは出来ません。したがってこの遺言は無効です。姉妹が相続人となって遺産を分割することになります。ただし姉の気持ちをくむという意味で、姉妹のうちどちらかが犬を飼ってあげてもいいかもしれません。

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