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3.82024
相続後に起こりそうなトラブル
相続後に起こりそうなトラブル
①遺産が他にもあるのに長男が黙っていた
Q1 父の遺産目録を長男が出してきたのですが、実は他にも財産があり長男が隠していた。
A1 長男が隠していた遺産を、今までに分かっていた遺産に加えて遺産分割協議を行います。既に遺産分割協議が終了
していた場合は、再度遺産分割協議を行う必要があります。但し終了した遺産分割協議に相続人全員が了承してい
る場合で、隠していた遺産が預貯金や株のような可分なものであれば、隠していた遺産に対してのみ遺産分割協議
を行うのが良いでしょう。
②行方不明の相続人が現れた
Q2 遺産分割後に、行方不明の相続人が現れた。相続はやり直しですか。
A2 行方不明の相続人がいるのに、その存在を無視して遺産分割をしたことが間違いでした。行方不明者は失踪の手続
きをしない限り死亡とは認められず存在を否定することは出来ないのです。いずれにせよ本人が帰ってきたのです
から、改めて遺産分割することになります。
③愛人の子と称する人が現れたが
Q3 遺産分割後に愛人と称する子が現れて、遺産を要求しています。認知はされていないそうですが。
A3 本当の子であれば認知の訴えを提起することができます。ただし認知請求相手の父又は、母の死亡から三年を経過
したときは出来なくなります。認知請求に対しては、他の相続人の利害関係人として、子である事を否認し争う
事が出来ます。裁判所により認知が認められれば半血兄弟としての相続権があり、遺産分割に加わることが出来
ます。
④多額の借金があり借金取りが現れたら
Q4 父の死亡から三か月が経過し、遺産分割も終わってほっとしていたところ、亡き父に貸金があるといって借金取が
現れたのですが。
A4 亡き父の債権の有無などについて、争うことはもちろんできます。父の死亡から三か月後ということですが、まず
債務について調べるべきでしょう。なお、借金の存在を知った時(死亡時ではない)から三か月以内は、家庭裁判
所に相続放棄や限定承認の申し立てが可能です。
⑤相続した遺産に抵当権がついているが
Q5 土地を相続したのですが抵当権が設定されていました。この抵当権を抜くことはできますか?また、抜けない場合
遺産分割のやり直しは可能ですか?
A5 土地を相続した後で抵当権が付いていることが判明した場合でも、抵当権者の承認があるか、または中身の債務が
無い場合を除いては、弁済をしないかぎり抵当権をぬくことはできません。抵当債務が多額な場合、対象の遺産
が間違っていたのですから、遺産分割をやり直すことになるでしょう。ただし、相続人が共同で抵当債務を支払
えば問題はなくなります。
⑥借地の相続で名義書換料を請求された。
Q6 借地を相続したのですが、先日地主がやってきて名義書書換料を請求されたのですが?
A6 相続は譲渡とは異なり被相続人の借地人としての地位を引き継ぐだけのものですから人の名義が変わってても名
義の書換料を支払う法的義務はありません。契約違反になったり契約を解約されることはありません。ただし、
金額によっては、妥協することも一つでしょう。
⑦事故死で加害者への請求はどうするか
Q7 母が交通事故で死亡しました。加害者への請求は相続人が全員ですることになるでしょうか?
Q7 交通事故による損害賠償の相続では、誰がどのようにするかが問題です。母の死亡による本人の逸失利益や慰謝料
請求は母の相続人全員の相談財産として全員が請求することになります。その時母が乗っていた自動車が長男の所
有であれば、その分の損害賠償は長男の請求権です。従って、母の請求権に何があるのかを検討し、その分は相続
人の権利となります。
⑧過労死や仕事が原因の自殺の損害請求は
Q8 父の死亡原因は過労死とのことでした。補償を労災及び会社に請求したいのですが、どうすればよいのでしょ
うか?
A8 過労死の場合の保障や労災保険上の請求も、死亡者本人に請求権がある場合は相続財産となり、相続人全員が相続
分に応じて相続権を取得し請求することになります。ただし会社規定などで、死亡時補償金や慰労金を配偶者に支
払うなどと定めている場合もあり、その請求権は過労死の場合も失われないので、請求権利者となった者が、相続
人とは別に請求することになります。
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